ムールヴェードル
2 個
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プロヴァンス地方やラングドック=ルーション地方でおなじみのムールヴェードルはスペイン生まれの赤ワイン用の黒ぶどうで、スペインではモナストレルと呼ばれており、現在でも世界の9割以上がスペインで栽培されています。
スペインの地中海沿岸のバレンシア地方が起源と推測されるムールヴェードルは、主に赤ワインに使用される(一部ロゼワインにも使用されています)黒ぶどうで、特に太陽の熱と日射を必要とする品種です。
スペインではモナストレル、アメリカのカリフォルニアやオーストラリアではマタロと呼ばれることもあります。
フランスのプロヴァンス地方、バンドールが特に有名でそれ以外にもカシスやコートドプロヴァンスなどのAOCワインにブレンドされています。また、南ローヌやラングドック=ルーションでも栽培が広がっています。
しっかりと熟すには、強力な日射を必要とします。乾いた、しっかりと太陽の熱を浴びることのできる粘土石灰質の土地で真価を発揮します。カリウムとマグネシウムが欠乏すると勢いを失います。冬の寒さには弱いです。
非常に繊細な品種の1つで、熟すのにも時間を要する上に収量は安定していません。品質の良いぶどうを一定量継続的に得るには、熟練が必要と言えます。
房の大きさは中程度から大きめで、円錐形をしていて実はギュッと詰まっています。粒は丸くて小粒で黒く、皮の内側も厚くなっています。
ムールヴェードル単体の特徴は、とにかく濃厚で色合いとしても透明感がないほどの濃さです。カシスやブラックベリーといった黒い色の果実や、ジビエ、トリュフ、シナモンのようなスパイスといった強烈な香り、酸度が低く、タンニン分が強いといったものが挙げられます。
一般的には、ワインに骨格と複雑み、コクを与える役割として、シラーやグルナッシュ、サンソーなどとブレンドされます。それにより、若いうちから美味しく味わうことができます。
そのコクやタンニン分、また香りの特徴などからも、牛肉やジビエ、羊肉などと合わせるのがおすすめです。特にムールヴェードルの割合が高いほど、味付けがしっかりしていたり、クセのある肉とのバランスも良くなるでしょう。
肉類をローストした場合は、トリュフなどキノコを使ったソースや、プルーンなどを加えた煮込み、カシスを使ったソースなどとも良い相性です。