カベルネソーヴィニヨン
17 個
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ワインを知らない人でも、この言葉を聞いたことがないという人はいないのではないでしょうか。フランス生まれ、ボルドーの代名詞とも言えるこの品種は、現在世界中で親しまれています。
カベルネソーヴィニヨンは赤ワインの代表的な品種の1つで、原産地はフランスです。古くから存在するイメージのあるこの品種ですが、実は比較的新しく、カベルネソーヴィニヨンの名前が歴史上登場するのは18世紀後半です。ボルドー地区、中でもメドックで多く栽培されていたようです。
育てやすさも手伝って、その後フランスからヨーロッパ(イタリア、スペイン、ハンガリー、ギリシャなど)へ、そしてアメリカのカリフォルニア州やオーストラリア、チリといったいわゆるワインの新世界へも勢力が広がっていきました。ワイン用ぶどう品種で世界最大の栽培面積を誇るのがこのカベルネ・ソーヴィニヨンなのです。
この品種のもっとも大きな特徴は、房の大きさこそ中庸ですが、1つ1つの実は小粒で、皮がしっかりと厚めで硬いことです。カベルネ・ソーヴィニヨンの名前がつけられるまではvidure(=硬いぶどう)と呼ばれていたとか。
ぶどう栽培に適した地域であれば、大抵の場所で育てることができる、気候的には幅広い範囲で対応可能な品種です。とはいえ、実を覆う厚い皮のおかげで熟すのに時間を要するため、熟していく段階でたっぷりの太陽が必要となります。この厚い皮に含まれる豊富なタンニンが、この品種を使ったワインの長期熟成を可能にしてくれるのです。
その厚い皮によって生み出されるタンニンによるしっかりとした渋みが最大の特徴です。樽熟成やワイナリーでの長期熟成にも適しており、その時間の経過とともにとがったタンニンが少しずつ滑らかになっていき、味や香りの複雑さも増します。ボルドーのグランヴァンはこうやって誕生します。
特に若いうちはそのタンニンの強さが顕著に現れるため、ボルドーではまろやかさや優しさを加えてくれるメルローやカベルネフランとブレンドされることが一般的で、若くてもおいしく、バランスの取れたワインも多数存在します。
アロマはカシスやマルベリーといった黒い果実の香りを中心に、ぶどうの熟し加減次第ではピーマンに例えられるような、少し青っぽい香りのニュアンスもあります。ジャスミンや白檀のような香りも潜んでいます。熟成が進むとなめし革やタバコ、杉などといった複雑さをともなっていきます。
骨格のしっかりとしたこの品種を使ったワインには、原則として赤身のお肉料理がよく合います。仔羊や牛肉、また鴨肉のローストや煮込んだジビエなどもよいでしょう。熟成が進んでくると強さが少しずつふくよかさやエレガントさへと変化を遂げていくので、トリュフやきのこを使った鶏肉の料理なども合わせられるようになります。